台東支部富山研修旅行
台東支部|令和6(2024)年6月28〜29日@黒部
今 知亮(台東支部副支部長、一級建築士事務所 株式会社 KONオフィス)
YKK50ビルにて。
レクチャー風景。
パッシブタウン。
雪の大谷。
みくりが池。
室堂エリア散策。
黒部ダムの放流。
室堂ターミナル屋上で記念撮影。
 富山県へ18名の研修旅行だった。
 1日目はYKK AP株式会社に協力をいただき、YKK黒部エリアで昨今求められることが必須となってきたパッシブデザインや普段馴染の深いアルミの製造過程を視察した。
 2日目は会員の多くの要望により「黒部ダム」を訪れた。
1日目:YKK黒部エリア
【YKK50ビル/丸屋根展示館1号館/黒部寮、黒部堀切寮】
 到着後、「YKK50ビル」にて会社概要、「丸屋根展示館1号館」でYKKおよびYKK APの歴史、創業者の吉田忠雄氏について説明を受けた。創業者の思想である「善の循環」がYKK精神となり、すべての事業が行われていることに感銘を受けた。
 バス移動途中に車窓からの「黒部寮」、「黒部堀切寮」の説明があり、ぜひ、施設内も見学したいと思わせる建築であった。
【I-TOWN(センターハウス、A街区モデルルーム)】
 施設内の昼食後、昨年できた木造2階建ての社員寮である「I-TOWN」に訪れた。バイオマスボイラーと太陽光パネルを備えた「センターハウス」には食堂と温浴施設があり、洗濯やセルフコンビニなどの生活するうえで必要なスペースや交流を深める談話コーナーの設えなど、入居者の拠点として快適に暮らせる配慮を見ることができた。
 単身者用のワンルーム住戸の「A街区モデルルーム」では、広めの土間スペースと中庭に面した窓が室内の開放性を生み出し、自然通風も計画されていた。
【黒部製造所】
 無理を言って組み込んでいただいた施設で、建材事業発祥の地でアルミ素材製造の中核拠点。アルミの鋳造・大型押出の様子を音と匂いと熱を感じながら見学した。各工程がオートマチックに合理的な製造過程はずっと見ていられ、思いの外、配置されている人員が少ないことにも驚いた。
【パッシブタウン(第1、2、3街区)】
 ランドスケープ(設計:宮城俊作)と1街区(設計:小玉祐一郎)、2街区(設計:槇文彦)、3街区(設計:森みわ)の各住戸のモデルハウスを見学した。ディテール、断熱方法、構造、法規的な観点で見るべきところがたくさんあった。窓を開閉しての通風や、昼光利用などのパッシブデザインを体験できたことも良かった。第5街区が建設中であるため、完成の際にはぜひ再訪したい。
2日目:立山黒部アルペンルート、黒部ダム
 前日の小雨を心配しながら迎えた2日目のメインは「黒部ダム」。富山側から長野側に向かう「立山黒部アルペンルート」で向かった。
【立山黒部アルペンルート】
 館山駅(立山ケーブルカー)→美女平(立山高原バス)→室堂(立山トンネルトロリーバス※今シーズンで廃止)→大観峰(立山ロープウェイ)→黒部平(黒部ケーブルカー)→黒部ダム(関電トンネル電気バス)→扇沢駅。6種類の乗り物に乗って半日かけて向かう。各所で新緑と雪の斑模様の立山連峰の景色が印象的であった。「雪の大谷」、「みくりが池」にはまだ雪が残っていて、あらためて標高の高さを感じた。
【黒部ダム】
 写真をいろいろなアングルで撮ったり、階段で上の方に行ったりなど集合時間を守れなくなってしまうほど、ずっと居ることができる場所だった。これほど大きなコンクリートの人工物を当時の技術で建設したことに感心しつつ、放水の迫力を感じながら、本当に天気が良くてよかったと幹事として安堵しながら眺めていた。
 1泊2日ではあったが、盛りだくさんのYKK黒部エリアの視察と、晴天の中での黒部ダム見学という内容で、満足度の高い濃密な研修旅行となった。
今 知亮(こん・ともあき)
東京都建築士事務所協会台東支部副支部長、一級建築士事務所 株式会社 KONオフィス
1981年 北海道札幌市生まれ/2006年 室蘭工業大学大学院 工学研究科博士前期課程建設システム工学専攻 修了/2006-2016年 有限会社アーキテクチャー・ラボ/2016年 アーキテクチャー・ラボKONオフィス 設立/2023年 株式会社KONオフィス 設立
カテゴリー:支部 / ブロック情報
タグ:研修旅行