不燃化特区の相談ステーションと個別訪問相談
支部だより:中野支部
寺崎 務(株式会社寺崎務建築研究室代表取締役、東京都建築士事務所協会中野支部副支部長、中野区建築設計事務所協会代表理事)
補助金交付のお知らせ(左)と大和町地区の不燃化特区のエリア。
「中野区大和町不燃化特区相談ステーション」での相談風景。
 (一社)中野区建築設計事務所協会では、平成26年度中野区から「中野区大和町不燃化特区相談ステーション」の運営業務の委託を受け、平成27年度も引き続き業務委託を受けました。
 中野区の申請を受け、東京都は2014(平成26)年に中野区大和町中央通り(都市計画道路補助第227号線)を「木密地域不燃化10年プロジェクト」の特定整備路線に指定。火災の延焼を防ぎ、避難や救援活動の空間にするために中央通り(早稲田通りから妙正寺川の区域720m)を拡幅することとし、その沿道地域の13.2haを不燃化特区に指定しました。
 災害に強く安全なまちの実現に向けて老朽木造家屋の不燃化建て替えを進めるためには、不燃化特区内で老朽建築物の建て替え費用及び除却費用等の一部を補助する制度をこの地域の住民に知ってもらう必要があります。委託業務のひとつは、大和町区民活動センターに開設された相談ステーションにおいて、老朽建築物の不燃化建て替えの相談のほか、もろもろの相談も受けるというものです。
 同時に、大和町1丁目から4丁目までの、不燃化特区の対象区域の570棟に対する個別訪問相談を実施しました。戸別訪問相談では、老朽建築物の建て替え等の不燃化特区補助金制度を知っているか、およびその制度を活用する意向があるかの聞き取りを行いました。
 個別訪問の結果は、補助金制度のことを知った上でも不燃化建て替えの予定はなく、このまま住み続けるという回答がほとんどでした。その理由の多くは、除却費用に補助金が出ても建て替えの建設資金がないというもので、不燃化建て替えの現状は厳しい情況です。
 次の段階として、個別の建て替えではなく、共同建て替えにより、一部賃貸住戸部分を確保して建設資金に充てる方法などを提案していきたいと考えています。補助金制度は2020(平成32)年度までですが、目標の70%の不燃化率の達成にはさらなる努力が必要であると思われます。
寺崎務(てらさき・つとむ)
株式会社寺崎務建築研究室代表取締役、東京都建築士事務所協会中野支部副支部長、中野区建築設計事務所協会代表理事
1943年 北海道生まれ/1978年 寺崎務建築研究室設立
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