第48回東京建築賞入選作品選考評
宮崎 浩(建築家、プランツアソシエイツ主宰)
奥野 親正(構造家、株式会社久米設計環境技術本部構造設計室室長)
伊香賀 俊治(慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授)
永池 雅人(一般社団法人東京都建築士事務所協会副会長、株式会社梓設計フェロープランナー)
渡辺 真理(建築家、法政大学デザイン工学部建築学科名誉教授、株式会社設計組織ADH共同代表)
石井 秀樹(建築家、石井秀樹建築設計事務所株式会社代表取締役)
宮原 浩輔(一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事、一般社団法人東京都建築士事務所協会常任理事、株式会社山田守建築事務所代表取締役社長)
北 典夫(鹿島建設株式会社建築設計本部長、専務執行役員)
平倉 直子(建築家、平倉直子建築設計事務所主宰)
山梨 知彦(建築家、株式会社日建設計チーフデザインオフィサー、常務執行役員)
●第48回東京建築賞 東京都知事賞、共同住宅部門|最優秀賞
FLATS WOODS木場
設計|竹中工務店

 厳しい防耐火・耐震性能が要求される都市における高層木造建築の可能性に、果敢にチャレンジし具現化した共同住宅である。
 共同住宅(単身寮)としての建築計画的な視点からは、特に目新しいものではないが、特筆すべきは、木造・木質建築の可能性を、技術的にもデザイン的にも徹底的に追及している点にある。持続可能な森づくり、全国区での木のサプライチェーンの構築から始まり、木による耐火・耐震技術の開発、施工性を考慮した工法の開発等、組織の持つ高い技術力と行動力を引き出すことで高い理想を実現している。
 主体構造をRC+木のハイブリッド構造とし、今まで蓄積してきた都市木造の要素や技術に加え、新規に開発した多様な木質構造技術が素晴らしい。2時間耐火の柱、鉄筋入りの集成材による構造部材、接合部を波状に加工して組み合わせるCLT床材、CLTの耐震壁、手積みが可能なCLTによるブロック耐震壁等、ここで用いられている多くのシステムがほとんど木現しのまま使用されていることもこの建築の大きな魅力につながっている。
 サステナブルな街づくりを目指す大都市東京の中で、今後、より求められるであろう都市木造を高層木造建築として見事に実現し、その大きな可能性を実証したこのプロジェクトは、東京都知事賞にふさわしい建物として高く評価したい。
(宮崎 浩)
●第48回東京建築賞 東京都建築士事務所協会会長賞、一般二類部門|最優秀賞
武蔵野クリーンセンター・むさしのエコreゾート
設計|水谷俊博建築設計事務所
   KAJIMA DESIGN
事業監修・設計監修|武蔵野市

 建築は、武蔵野市の緑豊かで閑静な住宅が広がる中心部、市役所の向かいに市として唯一のごみ処理施設である。ここに至るまで、周辺住民、行政、設計監修者、設計者が共に迷惑施設から脱却し、清掃工場の概念を超えた施設づくりを目指して10年におよぶ「武蔵野市方式」と呼ばれる議論と協働を重ねてきた。住民の理解だけでなく行政と関係者の地道な努力の積み重ねにより実現したものである。
 新施設は、旧施設の目の前に増築され、外観を武蔵野の雑木林を模してまちに馴染むデザインとしている。内部は市民に閉じるのではなく、あえて開放し、回遊しながらゴミ処理の様子をいつでもどこからでも見てもらうことで施設をまちとつなげている。音、臭気を感じない整然とした2階エリアから見るゴミピットのスケールとごみ投下の様子は、ごみの発生がわれわれの必然の生業であり、ゴミ自体が環境とつながっている現実をまざまざと感じさせられる。旧施設の煙突の改修と再生、減築手法による特異な建築の姿を残して市民活動のために再利用されることで廃棄物=ゴミの削減にも寄与している。
 このように、迷惑施設を市民とともにつくり上げ、次世代につなげた建築作品を高く評価したい。
(奥野 親正)
●第48回東京建築賞 新人賞、一般一類部門|最優秀賞
BONUS TRACK
設計|ツバメアーキテクツ

 下北沢の住宅地に、地下化した小田急線の線路跡地に生まれた地域に溶け込んだ職住混在の新しい商店街である。
 4棟の長屋型兼用住宅とそれをサポートする機能を持つ商業棟が、雑木林の広場を含む路地と一体となって形成されている。この外部空間にはリースラインが設けられておらず、各店舗が自由に家具やサインを設置できるように計画されている。入居者にとっては小さな内部空間を補完する共用の庭であり、近隣住民にとっては、民間企業の土地でありながら、公園のような役割を果たしている。また、入居者自身がこの商店街に手を加え続け、育てられる場所として、片流れ屋根の組み合せによる外形や分節された外壁、軸組み現しの内部空間など、建築が個々で完結しないように計画され、仕上げを変えられる外壁や庇、コンクリートのカウンターなど、手を加えられるエレメントが全体的に散りばめられている。さらに、どのような改変方法があり得るかが入居者に示され、積極的な改変を促すエリアマネジメントが行われている。
 以上のように、地域に溶け込んだ職住混在の新しい商店街を実現するための仕組みづくりにも取り組む「研究」と「設計」の2軸による若手建築家グループの建築設計事務所運営も高く評価した
(伊香賀 俊治)
●第48回東京建築賞 リノベーション賞、共同住宅部門|優秀賞
大山のいえ
設計|S設計室

 一見、特に特徴のない共同住宅といったたたずまいである。建物は1、2階が賃貸住宅、3階が建て主の住居として20年前に建てられたが、建て主である母親が息子家族と新たな暮らしを始めるために、2階の1室と3階を改修したものである。2階は母の住居であり、3階は息子家族の住居と母の作業部屋としての離れで構成されている。
 3階部分は大胆に2室のサッシを取り外して半屋外の中庭テラスとし、魅力的な生活空間を生み出している。ボールト屋根で雨を防ぎながら外気を取り入れたこの空間は、縦動線からの住居への動線空間であり、母と息子家族の交流空間であり、子どもの遊び場でもある。そして食事や仕事、読書などさまざまな過ごし方ができる居心地のいい縁側空間でもある。またエレベータホールを、機材を持って出かけることが多い息子の仕事部屋としたのもアイディアである。この大胆な発想を実現した思い切りのよさにエールを送りたい。
 審査委員会の中では当初からリノベーションとしては高い評価を得ていたが、共同住宅部門として評価することについては意見が分かれた。しかしながら今後このような事例が増えてくることが予想され、サステナブルな住宅活用を推進する上でもよい事例であることから、リノベーション賞に合わせて共同住宅部門優秀賞を送るものである。
(永池 雅人)
●第48回東京建築賞 リノベーション賞
Rib
設計|御手洗龍建築設計事務所

 今日、分譲マンションの住戸のリノベーションは稀なことではない。新築マンションの住戸プランはステレオタイプ化しているが、それに飽き足らない家族が自分たちの好みに合った間取りを求めて中古マンションを改装するのかひとつのトレンドになっている。この家族の場合は購入した住戸でしばらく暮らした後で、家族の成長に合わせて、このフルリノベーションを決意したそうである。コロナ禍による在宅勤務は改装の動機になったのかという質問には、もともと在宅勤務型のコンサルティング業務だったという回答だった。ただし、駅近のカフェで仕事するのと改修後の仕事部屋の作業の快適度は比較にならない。
 ではどのようなリノベだったのだろうか? 建築家は薄い合板に限りなくミニマルなデザイン操作を加えることで家族の居場所をつくり出した。L型平面の住戸ユニットの角にふたつの円弧上の囲いが設けられている。囲いの内側は父と息子の居場所=仕事部屋と勉強部屋(息子が大学入学後は娘の居場所になる予定)である。囲いの内側は連続する物品棚になっていて、作業デスクとベッドが設けてあるが、入口には扉があるわけでもない。ふたつの円弧空間以外にはリビングダイニングキッチンとバスルームと母と娘の居場所が連続している。シームレスな生活空間の中心は長いI型のキッチンである。料理好きの母がいて、家族が団欒するリビングとキッチンの間に楽しいアクションが繰り返される様子が目に浮かぶ。
(渡辺 真理)
●第48回東京建築賞 戸建住宅部門|最優秀賞
鎌倉大町の住宅
設計|滝沢茂雄建築設計事務所

 急峻な坂道を登った先に、シンプルな矩形のこの住宅は建っている。延べ床面積30坪ほどの建物内部へ入ると、外観からは想像できないような広がりを感じる。
 敷地の北、西側には雑木林の崖を控え、高さ2mの既存擁壁が巡らされている。1階の梁下高さは擁壁を基準に決められ、フルハイトの開口も手伝って、擁壁が建物内壁であるかのように振舞う。さらに、2階の床は擁壁上の雑木林と地続きとなって、視覚的な広がりを与えている。方位ごとに段違いに組まれた開口からは、雑木林の樹冠や空、遠景の見晴らしと多様な風景が切り取られる。
 扁平柱の現しの構造材は、施主の蔵書や家族の思い出の品々を飾る棚となり、家具レベルに仕上げられている。梁にはカーテンレールが彫り込まれ、筋交い端部は床仕上げレベルで調整されている。窓台交差部、階段ササラ桁の取り合い、床端部見切りなど、各所ディテールはプレカット時点での丹念な調整がうかがえる。
 建物に入って感じられた広がりは、周辺環境の注意深い読み込みから、構造、仕上げ、ディテールに至るまで等価なレベルでの丁寧な設計が建築空間を身体寸法へと落とし込み、その建築が周囲の環境へと溶け込んでいくことで、身体が拡張されるかのような広がりを生んでいると改めて感じた。
 シンプルな建物は設計者の静かな熱意を感じる秀作だった。
(石井 秀樹)
●第48回東京建築賞 戸建住宅部門|優秀賞
森の小屋
設計|K+Sアーキテクツ

 軽井沢駅から⻄に向かって20分あまりタクシーを⾛らせると、浅間⼭麓の静かな森に辿り着く。針葉樹の⽊⽴のなか少しだけ梢が開けてポッカリと光が差すところがあり、建築家夫妻が⾃分たちの居場所として建てた別荘がひっそりと佇んでいる。
 「森の⼩屋」と呼ぶのがふさわしい10坪あまりのこぢんまりとした住宅であるが、⼟地の⾼低差に呼応してテラス⇒広間⇒ベッドルームと連続的に床レベルが変わるにつれて、屋根付きテラスのフレームや⼤きな窓によって切り取られた⽊⽴の⾵景も変化していく。床レベルの設定、テラスを含めた空間のスケール感、開かれ⽅と閉じ⽅、スギとレッドパインのシンプルな内外装材、各所のディテール。どれもよく考え抜かれ設計者の熟練した⼒量を感じさせつつも、作為的なところが⾒受けられない。周辺の⽊⽴と同じように⼟地と環境にしっくりと馴染んでいる。
 四季とともに変化する浅間の⾃然が楽しめる秘密基地的な魅⼒を持っており、「季節を問わず毎⽉2回くらいは訪れています」と仰るのもよく理解できる。軽井沢の別荘地を巡り歩いて探し出したこの⼟地の魅⼒に惚れ込み、存分に楽しんでいるおふたりの笑顔が印象的だった。
(宮原 浩輔)
●第48回東京建築賞 戸建住宅部門|優秀賞
上井草の住宅
設計|川辺直哉建築設計事務所

 杉並の良好な住宅地の一画に建つ住宅。だが敷地はミニマムである。この住宅の外観デザインにはあえて統一的なデザイン処理を拒絶したところがあって、かつてロバート・ヴェンチューリが「陳腐な」「既製品」が「寄せ集められた」建築を、「アグリー・アンド・オーディナリー」と名付けたが、まさにこの建物は現代日本の「アグリー・アンド・オーディナリー」なのである(誤解が生じないように付記しておくが、上記の括弧付きの言葉はこの文脈の中ではすべて褒め言葉である)。
 内部に入るとまったく別の印象になる。内部はスキップフロア状の空間構成になっている。玄関から続く半地下階にはバスルームと仕事部屋があり、玄関に続いて3つの室(キッチンとダイニング、多目的室、最上階が寝室的多目的室)が、スパイラル状に連続する。それぞれの室には半屋外空間や大きな開口部が設けられていて、空間変化とリズミカルな連続感がいかにも快適である。外部からはスケールアウトかつ唐突に見えた大きな開口部も、内部空間では適度な開放感と採光や通風、プライバシー確保のため、適材適所に配置されていることがよくわかる。
 スキップ階段中央の構造材がこの住宅の主要な構造材ということだが、規模こそ小さいが構造的にはおそらく難解なこの住宅の構造設計を実現した構造家にも拍手を送りたい。
(渡辺 真理)
●第48回東京建築賞 戸建住宅部門|奨励賞
大岡山の家
設計|MDS

 狭隘な前面道路に面した旗竿敷地、それに加えて敷地の北側と西側には背の高い古い擁壁、南側と東側には2階建ての民家が迫るという住宅の計画地としてはかなり苦しい設計与条件の中で、設計者は丁寧な敷地の読み取りと巧みな空間構成によって、周辺環境の弱点を見事に克服し、幼い子どもを持つ若い夫婦のための居心地のよい空間を生み出している。
 この住宅を特徴づけている3つの空地(庭)は、それぞれ小さいながらも内部と外部を効果的に結び付けている。前庭と見立てたアプローチは、街に開かれた接点として演出されており、旗竿敷地ならではの道路からエントランスに至る距離感が、緩やかに公私の境界を生み出している。
 場所によって幅を変え、雁行しながら伸びていく平面の端部に配置した奥庭・南庭は、限られた開口からではあるが、柔らかい自然光を内部に取り込む。平面図からだけでは読み取ることは難しいが、下階のパブリックリビングやダイニングからスキップしながら上階のファミリーリビングへとつながる立体的な空間構成は、伸びやかで魅力的である。小さいながらも、質の高い住宅として評価したい。
(宮崎 浩)
●第48回東京建築賞 共同住宅部門|奨励賞
玉川台のアパートメント
設計|MMAAA

 単身者用の比較的小規模な賃貸共同住宅を建築家に設計依頼し、維持メンテナンスまで一貫してディベロッパーが運営するプロジェクトである。設計条件は、賃貸料に関わる容積を確保し、借り主の集まりやイベント等は不要とのことであった。
 戸建て住宅が残る家並みに合わせて全体のボリュームをふたつに分け、中庭から各戸へのアクセスをとり、外観を家型にすることで周辺環境にも光や風の道をつくっている。いずれも静かな住宅地に寄り添い、新住民の若者たちが地域にとけ込み易い構造となっており、好例と評価する。
 中庭の階段を含む共有空間は、長屋と共同住宅ふたつを混在しつつ法規的に成り立たせており、初めのイメージを形にするこだわりが行政との交渉へつながった結果である。また、この空間でそれとなく交わす住民間の視線は、いい意味で管理につながり、愛着と共有意識も育むであろう。さらに、緑化に力を入れて湿潤な環境となればなお良い。住戸のタイプは数種類であるが、天井高や方位、入口回り等の多様さが外観からは推測し難い魅力となっている。
 このような建築家の能力を引き出し生まれる新しい提案のシステムが継続されていくことを期待する。
(平倉 直子)
●第48回東京建築賞 一般一類部門|優秀賞
カンダホールディングス本社
設計|竹中工務店

 神田の中層ビルが立ち並ぶ都市密周部に潜む自然をまとった本社ビルである。四角い孔が無数に開いたポーラスな白い外装シェードが特徴的である。
 その建築構成は、周辺街区を考慮した解析モデルによる風環境と光環境のシミュレーションにより、立体的に展開する半外部空間とワークスペースの相互関係を、見事に周辺環境を内包し構築している。内部と外部という二分法が消し去られ、あるいは反転されているかのような光と微風が巡る快適な中間領域を実現している。照明計画においては、省エネと明るさ感を両立する工夫とともに、夜間のオフィスからの明かりを適度に絞り周辺部の集合住宅への配慮がなされている。また大スパン跳ね出し架構により1階全面をピロティ化、また隣接地との適度な距離感を設けるなど、密集する街並みにおいて見事に本社ビルとしての建築の自律性を際立たせている。
 比較的多くの中規模のオフィスを手掛けてきた設計者の一連の建築の「白」には、装飾批判のモダニズムに対して新鮮に映るファッション性が描出されているかのように思える。その挑戦を高く評価したい。
(北 典夫)
●第48回東京建築賞 一般一類部門|奨励賞
森のクリニック
設計|山下貴成建築設計事務所

 郊外に建つ平屋の小児専門クリニックの計画である。
 細長い切妻屋根を谷樋で相互につなぐことでできる折板のような屋根の下に、クリニックの諸機能を支える部屋が、緩くつながりつつ配された構成になっている。
 応募書類にあった俯瞰の全景写真からは、特徴的な屋根だけが目立つアイコニックな建築にも見えた。だが実際に訪れてみると、折板状の屋根を生かして大きく張り出された深い軒が、建物周囲や玄関周りに深い陰影と内部へと人を誘い込むような空間を生み出していることがわかる。
 内部も、屋根の尾根や谷の位置とは微妙に外された壁の配置や、各所で微妙に異なった高さに設定された床レベルにより、内部の諸室は巧みにつながり閉塞感はない。一方でこの建物には外周に塀がないのだが、深い軒の出と植栽の重なりが織りなす深みが、巧みにこの施設のプライバシーを保つことにも寄与している。こうして、室内に居ながらも、外構や坪庭に植えられた樹木が視界に入り、「森のクリニック」の名にふさわしい建築が生まれている。スタイリッシュでありながらも、小児専用のクリニックとして適切にまちに開かれ、閉塞感がなく入りやすい、好感度が高い建築であると感じた。
(山梨 知彦)
●第48回東京建築賞 一般二類部門|優秀賞
ヤマト港南ビル
設計|日建設計

 ヤマトグループ創業100周年を機とした建て替えプロジェクトである。近年、ビジネス街へ変貌する品川駅東側の港南地区に建つ、集配拠点「宅急便センター」と企業ミュージアム、研修施設からなる複合建築である。
 車路が立体的に巻き付くガラス建築という画期的な発想により、各フロア中央部のフラット床の周りに、車路と展示空間、ワークプレイスの二重のスパイラル空間が連なる。スロープ状に見学ルートが計画されたミュージアムは、100年の歴史を遡る移動感覚と相まってユニークである。
 ガラスユニットを斜めに鋭利に切り取りとり、車路が駆け上がるこのファサードの様相は、流動的であり、同時に周辺環境を映しこむクリスタルなガラスが静的な印象をつくり出している。
 都市部における、物流インフラとワークプレイスを融合した合理的なあり方を、現代の都市景観のダイナミズムに見事に変換し、さらに社会的課題でもある次世代モビリティ変革が注目されるなか、人と車の領域が交互に表出するその姿は、移動、輸送、流動性という未来的テーマを内包しながらも、どこか人中心のノスタルジーに通ずる意想外のデザインへと導いているようだ。
 現代的なテーマが詰まったシンボル性を見事に獲得している。
(北 典夫)
宮原 浩輔(みやはら・こうすけ)
一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事、一般社団法人東京都建築士事務所協会常任理事、株式会社山田守建築事務所代表取締役社長
1956年鹿児島県生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、株式会社山田守建築事務所入社/現在、同代表取締役社長
伊香賀 俊治(いかが・としはる)
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授
1959年生まれ/早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了/(株)日建設計 環境計画室長、東京大学助教授を経て、2006年より現職/専門分野は建築・都市環境工学/博士(工学)/日本学術会議連携会員、日本建築学会副会長
石井 秀樹(いしい・ひでき)
石井秀樹建築設計事務所株式会社代表取締役
1971年 千葉県生まれ/1995年 東京理科大学理工学部建築学科 卒業/1997年 東京理科大学大学院理工学研究科建築学科修了/1997年 architect team archum 設立/2001年 石井秀樹建築設計事務所へ改組/2012年~一般社団法人 建築家住宅の会 理事
奥野 親正(おくの・ちかまさ)
構造家、株式会社久米設計環境技術本部構造設計室室長
1968年 三重県生まれ/1991年 明治大学工学建築学科卒業/1993年 明治大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了/1993年 久米設計
北 典夫(きた・のりお)
鹿島建設株式会社建築設計本部長、専務執行役員
1958年横浜市生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、鹿島建設株式会社
永池 雅人(ながいけ・まさと)
一般社団法人東京都建築士事務所協会副会長、株式会社梓設計フェロープランナー
1957年 長野県生まれ/1981年早稲田大学理工学部建築学科卒業後、梓設計株式会社入社/現在、同社フェロープランナー
平倉 直子(ひらくら・なおこ)
建築家、平倉直子建築設計事務所主宰
1950年 東京都生まれ/日本女子大学住居学科卒業/日本女子大学、関東学院大学、東京大学、早稲田大学等の非常勤講師を歴任
宮崎 浩(みやざき・ひろし)
建築家、プランツアソシエイツ主宰
1952年 福岡県生まれ/1975年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1977年 早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了/1977〜89年 株式会社槇総合計画事務所/1989年 株式会社プランツアソシエイツ設立
山梨 知彦(やまなし・ともひこ)
建築家、株式会社日建設計チーフデザインオフィサー、常務執行役員
1960年 神奈川県生まれ/東京藝術大学美術学部建築学科卒業/東京大学大学院都市工学専攻修了/1986年 日建設計
渡辺 真理(わたなべ・まこと)
建築家、法政大学デザイン工学部建築学科名誉教授、学校法人片柳学園理事、株式会社設計組織ADH共同代表
群馬県前橋市生まれ/1977年 京都大学大学院修了/1979年 ハーバード大学デザイン学部大学院修了/磯崎新アトリエを経て、設計組織ADHを木下庸子と設立
カテゴリー:東京建築賞