モチベーションアップセミナー
令和3(2021)年6月2日(水)@本会会議室
松本 謙一(アデコ株式会社 コンサルティング事業本部)
セミナースライド抜粋
研修を振り返って
 貴協会会員の若手社員の方を募り、「モチベーションアップセミナー」を実施させていただきました。お忙しい中9名の方々を迎え、貴重な機会をいただきましたこと、まずは御礼申し上げます。
 今回の研修は文字通り「モチベーション」を中心テーマに添えた内容で、これからの業界を担う方々が、意欲的に活き活きと自らの力を発揮し、お客様や地域そして社会に貢献する上で何が大切かということを見つめなおす機会になったのではないかと思います。ご参加者各位におかれましては、今回のような、他社の方々同士がこのようなテーマについて同じ空間で学び語らう機会自体がそれほど多くはない中で、最初は緊張されていたご様子がみられたものの、研修が進むにつれて、徐々に当テーマについて同じ業界の仲間として互いの想いや考えを自らの経験と感覚をもとに可能な限り表現しようと奮闘される姿がとても印象的でした。特に、自らのこれまでのキャリアの中で「仕事のやりがいやうれしかったこと、また魅力はどんなことですか」といった問いに対して、それそれの立場なりに自分が過ごしてこられた今の仕事における時間と向き合い、真摯にそれを語り合われたことが、この研修の最大の価値であったと私自身は感じております。
モチベーションを知ること
 私自身も社会人生活においてさまざまな困難や葛藤と付き合いながら業務をこなす毎日の中で、ふと「自分はなぜこんなに役に立たないんだ」、「この業務って意味があるんだろう」、「あの人はなぜこんな態度をとるんだろう」といったようなネガティブな気持ちを抱くことが恥ずかしながらあります。そんなときに、こうした仕事をしているからといえばそれまでなのですが、今の自分を可能な限り見つめなおし、自分の周りで起こる、自分ではどうにもならないようなことでくよくよ悩んだり怒りを感じたり、気力を失いそうになったときに思い浮かべるのが、自分が抱いている今の仕事に対するモチベーションです。それは、本来は自らが生み出すものなのかもしれませんが、こうした同じ業界で働く仲間が、今の仕事に対してどのようなモチベーションをもって働いているのかといったことを知ることで、自分が今まで気づいていなかったこの業界で働く新たな魅力ややりがい、ひいては自分の存在価値といったことまで感じ取れるようになることがあります。そしてそれは、自らのことだけでなく、同じ業界で一緒に働く仲間としてのつながりといったものをより強くしてくれることがあります。
参加者のコメントから
 今回の研修がそのような機会になったことを感じ取れる、参加者からのコメントをご紹介します。
 「自分を見つめなおすきっかけになった。これから仕事をしていく上でとてもためになった」。「自分の性格を把握して、モチベーションを適切に持ち続けることが大切だと思えました」。「初対面の人の内面が知れて、単純に面白かったです」。「改めて、社会人としての心構え等、振り返ることができました」。「今までの自分を見つめなおせた」。「仕事についていくのに必死で自分と向き合うことを忘れていたため、貴重な時間を過ごすことができました」。「知らなければ悶々とするところを、ひとつ道しるべを得られた」。「今まで考えなかったことを考えられた」。「同世代の方と話ができ、また先輩の方々からぶっちゃけ話が聴けてよかったです」。
モチベーションの再確認と相互認識
 このようなコメントを拝見しますと、参加者の皆さまが、研修という限られた時間の中でも多くの気づきを得られたことを感じ取ることができます。
 研修の中でお伝えしたモチベーションの理想の在り方である「内発的動機づけ」は、私たちが仕事のみならずすべての物事への取り組み方に大きな影響を与え、また貴重なエネルギーとなります。その言葉に言及した方はいらっしゃいませんでしたが、なにかしら自分のモチベーションのあり方に風穴を開けられた方々が多くいらっしゃったことを嬉しく思いました。
 これはあくまで私の推測にすぎませんが、もし今後、仕事で辛かったり困難な状況を乗り切る必要があったとき、今回参加者自らが感じたことや仲間とのつながりが、その困難な状況を切り抜ける力やエネルギーになるものと思っています。
 今回は、世代やご経験年数を限定した方々のみを対象とした企画でしたが、こうした「モチベーション」について考える機会はどの世代やどの立場関係なく大切なことであり、かつ価値があります。ぜひ皆さまの会社や職場におかれましても、ふとしたときに「みんなはこの仕事にどんな魅力を感じてるの?」、「今のあなたの仕事のやりがいってどんなこと?」といった会話や語らいを増やしてみることをお勧めします。そして、お互いの「モチベーション」というものを理解し合っている状態が、相互理解を深め、働きやすい職場環境をつくり、各会社の従業員の定着率やパフォーマンス向上につながると考えています。
 会社を活性化するひとつのカギとして、「働く仲間同士のモチベーションの再確認と相互認識」をぜひお勧めいたします。
業界に向けて
 今や、どの業界や市場においても、コロナ禍の対応そしてアフターコロナの時代に向けてどのように適用し、そしてどう変化し発展していくかの模索が続いているのではないかと思います。建築における業界もまさにその過渡期にあると思います。今回の研修のテーマ選定についても事前の調整から実施に至るまでさまざまな模索が続けられてきた中、この業界で働く「人」に注目し、いかにその活性化を図るかという視点がが土台にあったのは言うまでもありません。建築という、人が社会的な暮らしを営む上で欠かせないものをどのように価値を高めていくかは、今現場で働くすべての人びとの「これからも新しいものを生み出していきたい」といったような成長意欲をいかに現場で育み、そうした思いを実現させ得る機会や環境を提供できるかだと思います。
 人生100年時代を迎え、現役世代はますますそのスパンが伸びることになります。まずは各建築事務所様などでも、若手ベテラン立場関係なくすべてのメンバーが自らがこれからも成長をすることの大切さを感じ合い、そして実際に成長をイメージできたり計画できるようにするための仕組みや環境づくりに向けてお取組みを進めていただくことが重要だと思います。ひとりひとりが活き活きと働き、成長を続けることを通じて、貴協会そして建築業界のこれからのご多幸とご発展を心より願っております。
松本 謙一(まつもと・けんいち)
アデコ株式会社 コンサルティング事業本部
国際EAP協会認定 国際EAPコンサルタント(CEAP)、日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種マスターコース、日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントファシリテーター、EQGA公認 EQプロファイラー/所属 :国際EAP協会(EAPA)、(一社)国際EAP協会 日本支部、(一社)日本アンガーマネジメント協会
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